甲状腺疾患(橋本病、バセドウ病)
甲状腺は、首の前側にある小さな臓器ですが、全身の代謝をコントロールする「甲状腺ホルモン」を作り出す重要な役割を担っています。甲状腺の働きが過剰になる、あるいは低下することによって、体の様々な不調が現れるのが「甲状腺疾患」です。
その中でも特に多く見られるのが「橋本病(慢性甲状腺炎)」と「バセドウ病(Basedow病)」です。当院でも、これらの疾患についてのご相談や検査、治療に対応しております。
橋本病・バセドウ病の症状について
橋本病(慢性甲状腺炎)
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自己免疫反応によって甲状腺が慢性的に炎症を起こし、徐々に機能が低下していく病気です。
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初期はほとんど症状がありませんが、進行すると「甲状腺機能低下症」の状態となり、以下のような症状が現れます。
主な症状:
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体がだるい、疲れやすい
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体重が増える
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むくみやすい
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寒がりになる
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声がかすれる
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脱毛、肌の乾燥
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物忘れが多くなる、気分が落ち込む
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
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こちらも自己免疫疾患で、今度は甲状腺が過剰に働きすぎてしまう状態になります。
主な症状:
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動悸がする、心拍が速い
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暑がり、汗が多い
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手が震える
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イライラする
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食欲はあるのに体重が減る
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眼球が飛び出してくる(眼球突出)
甲状腺疾患の原因について
橋本病もバセドウ病も、「自己免疫疾患」に分類されます。これは、自分の体を守る免疫が、誤って自分の甲状腺を攻撃してしまう状態です。
発症の原因としては、以下のようなものが考えられています。
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遺伝的な体質
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出産後のホルモンバランスの変化
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強いストレス
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ウイルス感染
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ヨウ素の過剰摂取 など
女性に多く、特に30〜50代で多く発症する傾向がありますが、年齢や性別に関係なく見られることもあります。
甲状腺疾患の種類について
代表的な甲状腺疾患は以下の通りです。
| 疾患名 | 特徴 |
|---|---|
| 橋本病 | 甲状腺機能が徐々に低下していく。進行して「甲状腺機能低下症」となる。 |
| バセドウ病 | 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「甲状腺機能亢進症」の代表的な病気。 |
| 甲状腺腫瘍 | 良性・悪性があり、画像診断や穿刺吸引細胞診が必要です。 |
| 無痛性甲状腺炎 | 一時的に甲状腺ホルモンが増えたり減ったりする自己免疫性疾患。 |
橋本病・バセドウ病の治療法について
当院では、症状や血液検査・超音波検査などにより、甲状腺の状態を詳しく診断し、以下のような治療をご提案しております。
橋本病の治療
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症状が軽度な場合は経過観察のみ
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甲状腺ホルモンが不足している場合は、ホルモン剤(レボチロキシン)による補充療法
バセドウ病の治療
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抗甲状腺薬(メチマゾールなど)
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内服で甲状腺ホルモンの分泌を抑える治療です。
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放射性ヨウ素治療
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放射性のヨウ素を内服し、甲状腺の一部を破壊します。
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手術(甲状腺の切除)
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大きな腫瘍がある場合や薬物治療が困難な場合に選択されます。
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バセドウ病は治療期間が長期に及ぶ場合も多く、通院での定期的なモニタリングが重要です。
よくある質問(甲状腺疾患について)
Q1. 甲状腺の病気は一生付き合わないといけませんか?
A1. 多くの場合、薬でホルモンバランスを調整しながら安定した状態を保つことができます。定期的な通院と検査が大切です。
Q2. 妊娠や出産に影響しますか?
A2. 適切に治療されていれば、妊娠・出産は可能です。ただし妊娠前からのコントロールが重要です。
Q3. 市販のヨウ素入りサプリを摂っても大丈夫ですか?
A3. ヨウ素の摂りすぎは甲状腺に悪影響を与えることがありますので、自己判断での摂取は控えてください。
院長より
当院では、甲状腺疾患の診療に力を入れております。橋本病やバセドウ病は、一見すると日常的な不調に見えることが多く、発見が遅れることも少なくありません。しかし、適切な診断と治療により、生活の質を大きく改善することができます。
「なんとなく体調がすぐれない」「動悸が続く」「太りやすくなった」といった、ちょっとした変化でも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。私たちは、地域の皆様の“健康創造パートナー”として、丁寧でわかりやすい診療を心がけています。
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