慢性心不全
慢性心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出すことができなくなっている状態が続いている病気です。一度発症すると、症状が悪化と軽快を繰り返しながら、少しずつ進行していくのが特徴です。
近年は、心臓の病気そのものだけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病との関連も深い病気として注目されており、特に高齢化が進む現代においては、誰もがかかりうる重要な疾患となっています。
慢性心不全の原因について
慢性心不全を引き起こす原因は多岐にわたりますが、以下のような基礎疾患が関係していることが多くあります。
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虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
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高血圧症
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心筋症(心筋が厚くなる、硬くなるなど)
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心臓弁膜症(心臓の弁の異常)
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不整脈(心房細動など)
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糖尿病や腎臓病などの合併症
また、風邪や脱水、過労、塩分の摂りすぎ、薬の飲み忘れなどが引き金になって急に症状が悪化する「急性増悪」を起こすこともあります。
慢性心不全の症状について
慢性心不全の症状は、体のどこに血液がうまく回らなくなるかによって異なります。以下のような症状が現れた場合は注意が必要です。
主な症状:
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息切れ
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横になると息苦しくなる(起座呼吸)
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少しの運動でも息があがる
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むくみ
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足やすね、顔がむくむ
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体重増加
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数日で急に体重が増える(むくみによる)
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疲れやすさ
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だるさが続く、活動量が減った
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動悸
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心臓がドキドキする感じが続く
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これらの症状は、年齢や他の病気でも見られることがあるため、早めにご相談いただくことが大切です。
慢性心不全の治療法について
慢性心不全は「完全に治す」ことが難しい病気ですが、適切な治療と生活習慣の見直しによって、安定した状態を保つことが可能です。
1. 薬物療法
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利尿薬・・体内の余分な水分を排出し、むくみや息切れを軽減
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ACE阻害薬・ARB・・血管を広げて心臓の負担を軽減
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β遮断薬・・心臓の動きを穏やかにし、心機能を保護
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MR拮抗薬・・心臓のリモデリングを抑える
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状況に応じて、心拍を整える薬や抗不整脈薬なども使用されます
2. 生活指導
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塩分制限・・1日6g以下が推奨されます
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水分制限・・むくみがある場合は水分量を調整
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体重管理・・毎日の体重チェックが重要です(体重の急増は悪化のサイン)
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適度な運動・・医師の指導のもと、無理のない範囲で行います
3. 悪化を防ぐための予防
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ワクチン接種(インフルエンザ、肺炎球菌)
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定期的な通院・検査
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心不全手帳などで自己管理
慢性心不全についてのよくある質問
Q1. 息切れがあるのですが、年齢のせいでしょうか?
A1. 年齢による体力の低下もありますが、慢性心不全の初期症状かもしれません。医療機関で心電図や血液検査を受けてみることをおすすめします。
Q2. 塩分を減らすには何をすればいいですか?
A2. 味付けは「かける」より「つける」、出汁を活用する、加工食品を避けるなどの工夫が有効です。管理栄養士と連携してアドバイスも可能です。
Q3. 一度心不全になると一生治らないのですか?
A3. 完全に治るわけではありませんが、コントロール可能な病気です。薬と生活の工夫で、以前と変わらない生活を送る方もたくさんいます。
院長より
心不全は「高齢の方だけの病気」と思われがちですが、実際には高血圧や糖尿病など生活習慣病のある40代、50代でも起こり得ます。特に慢性的に症状がある方は、「年のせい」と思わず、医師による評価を受けていただきたいと思います。
当院では、心不全の管理に必要な検査(心電図・血液検査など)や、日常生活のアドバイス、再発予防のための体調管理の支援を行っています。
札幌市東区の東区役所前駅から徒歩1分という通いやすい場所にありますので、ちょっとした不安でもお気軽にご相談ください。地域のかかりつけ医として、皆さまの健康を全力でサポートいたします。
